「AS/400がもうすぐなくなる」「2025年でサポート終了」── こうした話を耳にしたことはないでしょうか。

結論から言うと、これは誤解です。ただし、何もしなくていいわけでもありません。

「AS/400」という名前は2000年に終わっている

実は「AS/400」という製品名は、2000年に終了しています。その後「eServer iSeries」「System i」と名前を変え、現在は「IBM i」として継続中です。「AS/400がなくなる」という表現自体、25年前の話なのです。

では、2025年や2026年に何が終わるのか。それはIBM i 7.3の延長サポートです。2026年9月30日をもって、このバージョンへのサポートが終了します。プラットフォーム全体が終了するわけではありません。

IBMは2035年までのロードマップを公開しており、その先も継続する方針です。最新のIBM i 7.6は2025年4月に発表済み。IBMは常に二世代先まで同時開発を進めており、長期的なプラットフォーム維持を明言しています。

ロードマップ図は2035年で「破り取られた形」になっています。これは終了を示すのではなく、「その先も続く」というメッセージです。

なぜ「終了」という誤解が広まるのか

いくつかの発信源があるようです。

ひとつは、パッケージベンダーやWindows系SIerによる営業トーク。自社製品への移行を促すために「AS/400はもうなくなる」と主張するケースが後を絶ちません。2024年には某大手SIerが顧客に「IBM iの将来性は不透明」と説明した事例も確認されています。

もうひとつは、「2025年の崖」問題との混同です。経済産業省が警鐘を鳴らした「レガシーシステムの刷新」という文脈が、特定プラットフォームの終了と誤って結びつけられてしまったようです。

それでも安心はできない

プラットフォーム自体は継続する。でも、安心して放置していいかというと、そうでもありません。古いバージョンを使い続けること、「現状維持」を続けることには、やはりリスクがあります。

セキュリティの問題

サポート終了後はパッチ配信が停止します。脆弱性が発見されても修正されず、攻撃者の標的になりやすい。IBM i自体のセキュリティは高いとはいえ、古いバージョンの放置は危険です。J-SOX(内部統制報告制度)でも、パッチ未適用状態は「統制の不備」と判断される可能性があります。

保守の限界

ハードウェア故障時の交換部品は入手しづらくなり、価格も上がっています。そして何より深刻なのが、技術者の問題です。

IBM iを利用する国内企業は約1万社。そのIT担当者のうち、50代以上が占める割合は61.9%。72.3%の企業が「システム要員不足」を課題に挙げています。RPG言語の技術者の数は、COBOLの約1/10しかいません。

ベテラン技術者の頭の中にある知識は「暗黙知」として存在し、ドキュメントも整備されていない。「何をどう伝えればいいか」すら整理されていないケースも少なくありません。

悪循環

属人化しているから技術継承が難しく、技術継承ができないからさらに属人化が進む。全体像が見えないからリプレース判断ができず、リプレースできないから既存システムへの依存が深まり、保守はさらに難しくなる。

この悪循環こそが、多くのIBM iユーザー企業が抱えている本当の課題ではないでしょうか。

何から手をつければいいのか

OSバージョンアップか、クラウドERPへの移行か、段階的なモダナイゼーションか、アウトソーシングか──どの選択肢を取るにしても、現行システムの資産分析・可視化なしには判断が難しい。

でも、これがなかなか進まない。数千本のプログラム、暗号のような変数名、存在しないドキュメント。全体像を把握するには膨大な時間と労力が必要で、「それなら現状維持で」という判断になりがちです。

ただ、最近はこの状況が大きく変わってきました。AIの登場です。

特にAIエージェントは、一般的な対話型AIとは違い、PC上で実際に作業を行えます。ファイルを開いて読み、プログラムを実行し、必要に応じてソフトウェアをインストールする。数百、数千のプログラムファイルを横断して分析し、「このフォルダ内のすべてのプログラムを解析して」という指示ひとつで、処理内容の説明から仕様書の自動生成まで完結します。

これまで「ベテラン技術者が数週間かけていた作業」が、数時間で終わる。そんな世界が現実になりつつあります。

例えば、3,000本以上のRPGプログラムを一括で解析し、ドキュメント化する。数名のエンジニアの職人技に頼っていた状態から、組織として継承できる資産へと転換する。そんなことも可能になっています。

当社の生成AIエージェント導入支援サービス

当社では、メインフレームやオフコンの知見とAI技術を組み合わせた導入支援を行っています。まずは現状の課題からお聞かせください。

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焦る必要はない。でも、一歩を踏み出すなら今

AS/400(IBM i)は、これからも使い続けられる。慌ててリプレースを決断する必要はありません。

ただ、技術者の高齢化・定年退職の時期は確実に近づいてきています。「そのうち考えよう」と思っているうちに、聞ける人がいなくなり、若手も育っていないという状況になってしまうと、システムが動いていても人材面での手遅れとなってしまいかねません。

長年動いてきたシステムには、業務のノウハウや会社の強みが詰まっている。それは「負債」ではなく「資産」です。その価値を、次の世代へ引き継いでいく。AIエージェントは、その手段のひとつになるかもしれません。

まずは、今あるシステムの全体像をAIエージェントで把握・見える化(ドキュメント)すること。それが最初の一歩です。