「AIが作った仕様書は、どこまで信頼できるのか?」
AIによる仕様書の自動生成が現実になった今、最も多いのがこの質問です。金額計算、在庫の引き当て、請求の締め処理。業務の根幹に関わる仕様書に誤りがあれば、致命的です。
しかし、その精度を劇的に引き上げる手段が登場しています。Claude CodeのAgent Teams──複数のAIにチームを組ませ、互いにチェックさせる仕組みです。
実際にAIエージェントがRPG言語を解析して生成した仕様書の実例は、こちらの記事でご覧いただけます。
なぜAIは見落としをするのか
一つのAIが、一度の解析で仕様書を書く。この構造自体に、見落としの原因があります。
AIの出力には、毎回微妙なブレがあります。同じプログラムを読ませても、あるときは深く拾い、あるときはさらっと流してしまう。一回の解析だけでは、何が拾えて何が漏れたのかがわかりません。
システム開発の現場では、「作った人と確認する人を分ける」のが品質管理の鉄則です。一つの視点だけでは漏れが出るからです。AIにも同じことが言えます。
見落としが起きやすいのは、たとえばこういうポイントです。
- プログラム間の呼び出し関係の把握漏れ──あるプログラムから別のプログラムを呼んでいるのに、その先を追いきれていない
- 条件分岐の奥に埋もれた例外処理──正常系はきれいに整理されるけれど、「もしこのデータが来たら」という例外パスが抜け落ちる
- 画面項目とデータベース定義のズレ──画面に表示される項目名と、データベース上のフィールド定義が食い違っているのに気づかない
こうした見落としに対して、AIにも「チームでチェックする」仕組みが生まれています。
AIにチームを組ませる(Agent Teams)とは
複数のAIにチームを組ませ、協調して作業させる。これがAgent Teamsの考え方です。
やっていることは人間のプロジェクトチームと同じです。リーダー役のAIが全体を把握して、担当者役のAIがそれぞれの持ち場を受け持つ。違うのは、メンバーが人間ではなくAIだということだけです。
たとえば、AS/400(IBM i)のRPG言語やCOBOLのプログラムから仕様書を作る場合、こんなチーム構成になります。
- プログラム解析担当──対象プログラムだけでなく、関連プログラムや画面定義、帳票定義、データ構造まで参照し、処理ロジックの全体像を解析する
- レビュワー──解析結果、設計書、画面・帳票レイアウトなど各担当の出力を検証し、見落としや解釈の誤りを指摘する
- 詳細設計書作成担当──プログラム解析結果をもとに、詳細設計書として書き起こす
- 画面・帳票レイアウト設計担当──プログラム解析結果をもとに、画面や帳票のレイアウトを書き起こす
リーダー役のAIがこれらの担当を割り振り、並行して作業を進めます。分担するから速い。そして、それぞれの検証が深くなります。
Anthropic社(Claudeの開発元)の研究によれば、このマルチエージェント協調は、単独のAIと比較して最大90.2%の性能向上を達成しています。
仕様書の精度は、どう高まるのか
単にAIを複数回動かすのとは違います。メンバー同士がチェックし合うから、精度が高まる。
まず、担当を分けることで検証が深くなります。一人で全部見れば浅くなる。プログラム解析、画面・帳票レイアウト、レビューをそれぞれ専任にすれば、一つひとつの確認が丁寧になります。
そのうえで、解釈を突き合わせる。プログラム解析担当が「この処理は消費税計算だ」と解釈すれば、レビュワーがデータ定義と照合し、「このフィールドは税込金額のはずです。二重計算になりませんか」と返す。こうしたやりとりがAI同士の間で直接起きます。
さらに、レイヤーをまたいだ照合ができる。処理ロジック、データ定義、画面定義は別々のソースに書かれている。それぞれを別のAIが読み、結果を突き合わせることで、単独では見つけにくいレイヤー間の不整合が浮かび上がります。
信頼できる仕様書を、AIで手にする時代へ
AIが仕様書を生成し、複数のAIがチェックし、人間が最終レビューする。この流れが確立されつつあります。
仕様書がなくて止まっていた現場、精度が不安で踏み出せなかった現場にとって、Agent Teamsは一つの転機になるはずです。信頼できる仕様書が手に入れば、引き継ぎも、外注交渉も、リプレース計画も、具体的に動かせるようになります。
当社の生成AIエージェント導入支援サービス
Agent Teamsの力を引き出すには、「どの役割のエージェントを、どう組み合わせるか」の設計が重要です。プログラムの特性によって最適な構成は変わりますし、プロンプト(AIへの指示)の精度が結果を左右します。
当社では、メインフレームやオフコンの知見と最新の生成AI技術の両方を活かし、お客様のシステムに合わせたエージェント構成を設計しています。「まず1本のプログラムで試してみたい」という段階から、組織的な展開まで、伴走型でサポートいたします。
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